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中国のインターネットインフラを克服する

サイトパフォーマンスを向上して機会を最大化する方法


McKinseyによれば、中国の経済規模は10兆ドルで年間成長率は7%、中でもデジタルeコマース市場が拡大しています。2020年には、中国のオンラインeコマース市場がデジタルコンシューマー7億1000万人を突破し、取引額は2兆2900億ドルに上りました。2021年には売上高1兆5000億ドルと世界最大のeコマース市場になり、2024年までには取引高が3兆5000億ドルへ急拡大すると予想されています。

さらに、中国はインターネット人口も世界最大で、10億人以上の国民がインターネットに接続しています。こうしたデータから、中国市場への進出に財務上のメリットがあることは明らかです。

しかし、中国で事業展開する米国企業はわずか8,000社ほどで、中国の登録企業のうち外資系企業は3%未満です。

中国市場に参入しようとしているビジネスリーダーにとって、この地域でサービスを効率的に運用できれば財務上かなり有利になるでしょう。一方、中国で既に事業展開しているグローバル企業にとっては、サイトの高速化とパフォーマンス向上が収益増につながる可能性があります。


最適なサイトパフォーマンスを確保することの難しさ

最近のPWCレポートは、中国は世界最先端のeコマース市場だと報じています。世界的に見ても、中国の消費者はオンラインショッピング(商品情報の検索から取引完了まで)をする傾向が高く、シームレスで高速のオンライン体験を期待しています。

サイトの遅延が顧客満足度に直接響き、収益減につながることはよく知られています。調査によれば、「適度な時間内」に読み込まれないと買い物客の90%がサイトを離脱し、57%は離脱後に別の小売業者から購入することがわかっています。Amazonでは、1秒の遅れが16億ドル以上の年間売上高減少につながりかねないといいます。

残念ながら、中国ではネットワークのボトルネックや輻輳の回避が複雑で、一部の企業は高速で信頼性の高いサイト体験を維持するのに苦労し、中国企業との競争で不利になっています。

中国に出入りするインターネットトラフィックはすべて、北京、上海、広州の3か所にある「国レベル」のインターネットエクスチェンジポイント(IXP)、または成都、武漢、南京、西安、瀋陽の5か所にある「コアレベル」のIXPのうち1つを経由しなければなりません。

繁忙期や、音楽・動画ストリーミング、インターネット閲覧の集中、大容量ファイルのアップロードやダウンロードといったアクティビティ中は、IXPで輻輳が起こり、中国国外でホストされるWebサイトは読み込みが遅くなり、パフォーマンスが低下します。

この問題を回避するため、一部の企業はWebサイトのホスティングを、IXPに近いデータセンターか中国国内のサーバーで行っています。それによってボトルネックはある程度解決できるものの、最低限の接続しかない現地のインターネットサービスプロバイダー(ISP)を使わざるを得ないため、不利な状況に変わりはありません。

IXPと同様、現在のISP市場は、国有4社(China Telecom、China Mobile、China Education & Research Network(CERNET)、China Unicom)が支配的です。これらのISPは、国内のインターネットトラフィックの95%を扱い、ピアリング(ネットワーク同士の接続)は最低限しか行っていません。2017年のMlytics調査によると、中国で最もピアリング接続の多いネットワークでさえ、接続するIXPはわずか2か所。北米が66か所、欧州が71か所であるのに比べ、極端に少ないのがわかります。このため、国内のインターネットトラフィックでさえ、地理的には短くてもネットワーク上は長い距離を移動しなければならず、それがエンドユーザーが経験する遅延の原因になっているのです。

一部の多国籍企業は、直接ピアリングによってこの問題を解決できますが、ISP4社との直接ピアリング接続を国外から確立するにはプレミアム料金の支払いが必要で、非常に大きな出費になりかねません。

ネットワークのボトルネックと限定的なローカルピアリングが原因で遅延やネットワーク輻輳が増え、コンテンツ配信が非効率になり、最終的には収益減や運用コストの増大を招く可能性があります。


中国でサイトパフォーマンスを向上する方法

中国市場で既に活動する企業や参入を考えている企業にとっては、ネットワークのボトルネックを解消し、非効率な国内のピアリング状況を克服するのが難しい場合があります。そういった障害を乗り越えて高速で信頼性の高いサイトパフォーマンスを実現するために、国際企業は以下を検討するとよいでしょう:

  • Webページのサイズ縮小 サイトの速度を上げるためにWebページのサイズを縮小する方法は複数あります。画像ファイルや動画ファイルの最適化、不必要なコードの圧縮または削除などです。

  • 読み込み時間の短縮 HTTPリクエスト、外部スクリプト、リダイレクトリンクによって読み込み時間が長くなり、Webサイトの速度とパフォーマンス全般が遅くなる可能性があります。それらの要素の使用に制限や制約を設けることで、サイト速度とパフォーマンスを上げることができます。

  • 適切なネットワークプロバイダーと提携 中国国内のIXPやISPに近くピアリング先の多い大規模ネットワークで、中国国内でDNSクエリーを解決し、サーバーレスコードを使ってカスタマイズされた柔軟なカスタマールールを作成し、企業がWebサイトのHTML、CSS、JavaScriptコードを最小化してWebページのサイズを簡単に縮小できるようにするクラウドネットワークプロバイダーを探しましょう。

Cloudflareのチャイナネットワークサービスは、中国市場での事業展開を検討しているすべての組織にご利用いただけます。中国本土の約30都市に拠点を持つCloudflareとその戦略パートナーは、中国内外のWeb訪問者に高速のユーザーエクスペリエンスを提供するグローバルネットワークを創出し、中国で事業展開する企業のパフォーマンス向上、信頼性向上、セキュリティ強化を支えています。この記事は、技術関連の意思決定者に影響を及ぼす最新のトレンドとトピックについてお伝えするシリーズの一稿です。



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記事の要点

この記事を読めば、以下が理解できます。

  • 中国にある機会の規模

  • 中国のインターネットインフラがグローバルビジネスに及ぼし得る影響

  • ユーザーエクスペリエンスの良否がサイト速度とパフォーマンスで決まる理由

  • 中国で事業展開する企業がWebプレゼンスを最適化するための推奨事項


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