2007年創業のPropertyGuru Groupは、東南アジア有数のオンライン不動産会社です。毎月3500万人近くの消費者が、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムにある280万軒以上の情報を掲載するPropertyGuruサイトをブラウジングして賃貸物件や売り物件を探しています。
最大の掲載数で市場をリードするPropertyGuruは、競合が展開するスクレーパーボットの標的にされがちです。それらのボットは、PropertyGuruのインフラに負荷をかけ、帯域幅費用の増大を招くだけでなく、同社の評判を落とし、家探しをするユーザーの体験にも悪影響を及ぼします。競合企業は掲載情報をコピーしますが管理はしませんので、もう市場にない物件が延々掲載されていることがよくあります。消費者は競合サ イトに掲載された情報を見て不動産会社に連絡をとりますが、物件はしばらく前に成約済みだと聞かされます。掲載情報にPropertyGuruの社名があるため、同社としてはその影響を心配していました。
PropertyGuruはサードパーティのボット管理ソリューションを使っていましたが、ボット管理とCDNを同じプロバイダーでまとめることによって使い勝手をよくしたいと考えました。ボット管理の改善に関してPropertyGuruが欲しかったのは、保守が簡単で誤検知が少ない代替ソリューションです。従来のソリューションでは得られなかった分析によるインサイトも希望していました。さらに、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)、エンドユーザーの接続速度、デバイス、ブラウザに合わせて画像を最適化できるソリューションも欲しかったといいます。そして、可能ならば、それらすべてを同じプロバイダーから購入したかったのです。
ベンダー数社を評価したPropertyGuruは、Cloudflare CDN、WAF、ボット管理を含むCloudflareのパフォーマンス・セキュリティプラットフォームの展開を決めました。Cloudflare Workersも実装しました。Workersは、開発者にサーバーレス実行環境を提供し、インフラの構成や保守を必要とせずに、全く新しいアプリケーションの作成やカスタムコードを使った既存アプリケーションの拡張を可能にするプラットフォームです。
PropertyGuruにとって、スクレーパーのような悪性ボットをブロックする ことはもちろん必須ですが、Googleサイトクローラーのような正当なボットを邪魔しないことも重要です。PropertyGuruは1か月かけてCloudflareボット管理の概念実証を行い、Cloudflareの誤検知率が極めて低く、競合ソリューションより優秀であることを確認しました。
「ボット管理は難しいです。サイバー犯罪者は、悪性ボットを正当なボットのように見せかけることに長けていますから」と、技術リード(インフラと開発担当)のKostiantyn Lysenko氏は説明します。「データに基づくCloudflareのソリューションは、良性ボットをブロックすることなく、悪性ボットトラフィックを半減させました。」
PropertyGuruのチームは、Cloudflareのボット管理が費用対効果にも優れ、展開が容易であること、実用的なインサイトや知識豊かなCloudflare担当者による世界第一級の技術サポートが受けられることも知りました。
「Cloudflareのボット管理は完全にクラウドベースですので、従来のソリューションと違い、セットアップの費用はゼロで済みました」と、リードDevOpsエンジニアのBalamurugan Mohandossgandhi氏は語っています。「分析機能のおかげで、当社の脅威環境について貴重なインサイトも得られます。」
「Cloudflareのインターフェースでは、新しいルールをライブにプッシュする前に試して機能を確認することができます」と、Lysenko氏は続けます。「ドキュメントも包括的で、サポートが必要な時はいつでも、製品やその使い方について熟知した担当者に連絡がとれます。」
一方、Cloudflare WAFは、PropertyGuruのサイトで最もトラフィックが多いシンガポールのドメインに対する脅威を、毎月約2300万件ブロックしてい ます。PropertyGuruは、Cloudflareをデプロイして以来、大きなサイバーセキュリティインシデントは経験していません。おかげでチームは、ビジネスを推進し、全社的にセキュリティを強化する社内プロジェクトに時間をかけられるようになりました。
「脅威の状況は常に変化しています。Cloudflare WAFの分析機能で、誰が当社を攻撃しているか、どんな方法で攻撃しているかがわかるため、新たな脅威に対して当社システムの耐性を強化することができます」と、PropertyGuruのエンジニアリング責任者Pedro Pereira氏は言います。「Cloudflareがゼロデイ攻撃から守ってくれているから、社内のセキュリティ制御すべてを強化する時間があるのです。当社のセキュリティ管理をしっかりできるようになったのは、Cloudflareの貴重な支援のおかげです。」
PropertyGuruが以前使っていたCDNソリューションは、同社が配信する国々の一部で機能せず、高速接続が消費者に普及していない地域では遅延の問題が起こっていました。長年悩みの種だったのがインドネシアです。
「トラフィックスパイクにサイトのスケーリングが間に合わず、障害が起きたこともありました」と、Pereira氏は振り返ります。
Cloudflare CDN導入後は、PropertyGuruインドネシアサイトの遅延が大幅に低減し、タイなど遅延はさほど問題でなかった地域でもページ速度が著しく改善しました。
「Cloudflareのおかげで、朝5時にサイトの1つが落ちたと電話がかかってくる心配はなくなりました」と、Pereira氏。
また、ページ速度が上がったことで、消費者が物件探しでまず行うGoogle検索におけるPropertyGuruの情報サイトのランキングが上がりました。「Googleでは、ページ読み込みの速度がランキングの要素になっています」と、Pereira氏は説明します。「遅延が低減されて、Googleでの当社情報サイトのランキングが上がり、サイトを訪れる消費者の数が増えています。」
PropertyGuruは不動産情報サイトですから、画像が多く含まれます。高画質を維持しながら高遅延を避けるためには、エンドユーザーのブラウザ、デバイス、接続速度に応じて画像を最適化しなければなりません。PropertyGuruは、Cloudflareをデプロイする前は社内ソリューションで画像最適化を行っていました。しかし、そのソリューションは保守が難しく、柔軟性が極めて乏しいものでした。たとえば、画像をエンドユーザーのブラウザに合わせてリサイズすることすらできなかったのです。
PropertyGuruはWorkersを使って、ネットワークエッジで実行するカスタムコードをデプロイし、ユーザーのデバイスのサイズ、接続速度、ブラウザに応じて画像をその都度最適化します。Workersによって、ページ読み込み時間が短縮できるだけでなく、極めて遅い接続のユーザーに対しても高画質の画像を配信することができます。
「画質は、オンライン不動産情報サイトにとって極めて重要です。Cloudflare Workersのおかげで、ユーザーのリクエストをオリジンでキャ プチャし、全ユーザーがデバイスや接続速度にかかわらず高画質の画像を見られるようにすることができます」と、Pereira氏は言います。
PropertyGuruでは、会社の成長に伴ってCloudflareとのパートナーシップを拡大する計画です。「Cloudflareは、非常にうまく動作して保守が簡単な、パフォーマンスとセキュリティの優れたソリューションスイートを提供してくれて、サポートも充実しています。必要に応じて他のCloudflare製品を追加デプロイすることに、ためらいはありません。」(Pereira氏)
Cloudflareのボット管理によって、悪性ボットのトラフィックが大幅に減り、競合による情報のスクレ―ピングを防止できました。
Cloudflare WAFは、PropertyGuruのシンガポールサイトに対する脅威を、毎月約2300万件ブロックしています。
Cloudflare Workersは、エンドユーザーのデバイスや接続速度に応じて画像を最適化することで、遅延の低減に貢献します。
“「脅威の状況は常に変化しています。Cloudflare WAFの分析機能で、誰が当社を攻撃しているか、どんな方法で攻撃しているかがわかるため、新たな脅威に対して当社システムの耐性を強化することができます。Cloudflareがゼロデイ攻撃から守ってくれているから、社内のセキュリティ制御すべてを強化する時間があるのです。当社のセキュリティ管理をしっかりできるようになったのは、Cloudflareの貴重な支援のおかげです。”
Pedro Pereira氏
エンジニアリング部長
“Cloudflareのボット管理は完全にクラウドベースですので、従来のソリューションと違い、セットアップの費用はゼロで済みました。分析機能のおかげで、当社の脅威環境について貴重なインサイトも得られます。”
Balamurugan Mohandossgandhi
リードDevOpsエンジニア
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